キスch

相手はバスケ部1個上の先輩で、近所の幼なじみ。バスケ男子は県大会に行くほどの強いチーム。

わたしはバレー部に所属。レギュラーではなくサブメンバー。　

よく体育館でいっしょになり、リーダー的存在の彼はいつも目立っていて、周りの女子からの目線を集めていた。

小学校の頃はよくいっしょに遊んでいたんだけれど、中学に入ってからはバスケに打ち込んでるみたいで全然遊ばなくなった。

練習が終わって帰りに、中央玄関の水飲み場でバッタリ会った。

彼「久しぶり元気？？」

わたし「うん」

彼「今度、あのいつも遊んでた公園で、花火でもしない？」

久々に誘ってくれた。なんかうれしかった。

花火をしながら昔の懐かし話に触れる。

いつも冗談言われて、わたしは騙されていた。

彼がフィナーレの線香花火を取り出して

彼「勝負しようぜ！」

と言ってきた。

彼「おまえも中学生になって少し女っぽくなってきたから、俺が勝ったら、キスしてくれるっていうのはどう？」

わたし「いいよ。じゃあ私が勝ったら1日どこかに連れてって」

勝負が始まった。その結果、私は惨敗。

わたしはキスされるのか～と思ったけど、彼の口から

彼「おまえ本気にしてたの？？冗談だよ」

と言ってオデコを小突かれた。

彼「でも最近部活ばっかりだからオマエ負けたけど、今度デートに連れてってあげるよ」

1ヶ月たった週末。電車で10分ほどのところにある、大きな公園にいった。

お昼にパスタを食べて、その後歩いてアイスを食べたりお菓子を食べたり。

観覧車があったのでそれに乗ることに。

わたしが「大丈夫かなー」と言って床をどんどんやって揺らすと、彼は「やめろよー」と半笑いで言った。

観覧車が左４分の１を登ったところで、

わたし「花火の時言ってたこと…あれって本当に冗談？？」

彼「ん！？」

わたし「キ、キスするって言ってたこと」

彼「ああ」

わたし「キスしたいの？？」

彼「……」（彼は私をじっと見た）

わたし「キスしても…いいよ」

静かな観覧車がゆっくり、ゆっくり、頂上まできた瞬間、わたしたちは初めてのキスをした。

うっすらと観覧車が下降しはじめたのが分かって、きっと後ろに乗っているカップルから見えているんだろうなと思うと、更に恥ずかしくなってきたけれど、彼はキスをやめない。

優しくて長いキス。ゆっくり離れて顔を見ると幸せな気分になった。

気がつくともうすぐそこに地面が近づいていた。

その後二人手をつないで帰りました。

でもなんか手をつなぐ方が恥ずかしくって、顔を赤くしながら帰った覚えがあります。