ファーストキス体験談
/終わりを告げるファーストキス
東京に憧れて上京したのには、二つの理由があります。
ド田舎で暮らしていたので、こんなところで一生を終えるのもつまらないなーと思い、東京に出れば就職先など開けてチャンスがあるかも…
狭い地元では、私の魅力をわかってくれるいい男性に巡り会えなかったので、東京に出て王子様と出会えるチャンスがあるかも…
私の進路は東京の調理師の専門学校に決まりました。そこで出会った同い年のクラスメイト。
カッコよくはないけど勉強熱心で、授業でわからないところを教えてもらったり、とても頼りになる人。
いつの日か彼のまっすぐな性格に、心ひかれるようになりました。
彼の夢はラーメンの勉強をして、日本一のラーメン屋をつくること。
学校が終わると彼を待って、いつもいっしょに帰っていました。
彼が熱心にしゃべっている横顔を「この人が私の王子様なのかな~」と、いつも横目で見ながら歩いてました。
ただ問題がひとつ
ラーメンオタク…
いつも盛り上がる話といえばラーメンの話。私がテレビのお笑いの話とか、ディズニーランドの話を持ちかけても全然盛り上がらず。
いや本当にラーメンの話しか、興味がないと言っても間違いではないほど。
ラーメンの話を振ると、それについては必ず10以上は返ってきます。
(彼は照れているのかなーはじめはそんなものなのかなー)
私はそんな彼に話を合わせていました。
学校帰りの夜ごはんは、いつもラーメン屋さん。
私ははじめは付き合って食べていたけど、いい加減ラーメンにも飽きてきて
「今日はあまりお腹減ってないから、外で待ってるね」
と言って彼を30分も1時間も待っていた。
そんな関係が約3ヶ月も続いて、正直なんのアプローチもなかったので
「この人は私の王子ではないな…」
と気づき始めた。人間はおもしろいものでそう思いはじめると、必ず態度に出るというか相手も気づきはじめる。
彼の反応が少し変わってきた。
学校帰り、いつも彼のほうが先に歩いていたのに、急に手をつなぎ始めた。
うれしかったけど、ちょっと複雑な気分。
私はこの時期、次の王子様を見てみたい気持ちもあったので、切り替えようと思って悩んでいた。
そんな迷いの中で1週間が過ぎ、学校が終わっていつものように彼を待っていた。
彼と会って普段なら夜ご飯を食べに行くのに、その日は彼に手を引っぱられて、繁華街から少し離れた公園へと向かった。
ベンチに座って何も言わずに黙っているから
「どうしたの?」
と聞くと
「うん…」
と言ったまま更にだんまり
「なんかあったの??」
と再度聞くと
「ら、ラーメンにナルトは、絶対に必要だと思うんだよね」
「???」
「だから… オレはラーメン!おまえはナルト!!お互いそんな存在になろう」
「?????ナルト…」
(なんかよくわかんないけど、これって告白なの?)
「なにそれ?」
私が腹を抱えて笑った瞬間、グッと両方を抱き寄せられ、キスをされた。
今までの空気が一変して、時が止まったかのようだった。
これがキス??
少しの余韻に浸り、私は何も言わずにその日はバイバイしました。
その日返って、1日中ずっと考えました。
寝不足で赤い目のまま迎えた次の日、学校のあまり使われていない階段の踊り場で、もう気持ちが動いていることを彼に伝えました。
私も我慢をしてたし、彼も日本一のラーメン屋さんを目指すなら、私となんか付き合ってる暇は無いだろうと思って。
なので私のファーストキスは、始まりではなく終わりを告げるファーストキスでした。
正直な話、あの時レモン味どころかにんにくの香りがして「くせぇなコイツ!」って思いました。
でも、ナルトに例えるところとか、彼らしいといえば彼らしいのかな…(笑)
あの時ずっと握ってくれた手は、とても暖かかったよ。
がんばれラーメンマン!
日本一のラーメン屋さんを目指して…
ナルトは笑えるわー ある意味ねらった告白かもね…
なんか感動しましたーT^T
残念な結果だったけどユウさんの優しい気持ちもわかる気がします(^-^)
王子様には会えたけどラーメン王子とは…残念
いい思い出ですね。でも例えがナルトとは…
いい決断をしたと思います(^o^) オトナですね〜
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